2018.09.10
相続法改正の概要〜改正の知識を実務に役立てる!!〜
先日、住宅産業研究会の勉強会に参加してきました。
テーマは「相続法改正の概要〜改正の知識を実務に役立てる!!〜」、講師は弁護士法人法律事務所オーセンスの松村弁護士でした。
テーマ通り、今回の相続法の改正点について解説して頂きました。
改正点のなかでは「配偶者居住権」、「遺言制度に関する見直し」、「遺留分制度に関する見直し」の3点が重要とのことでした。
「配偶者居住権」
要するに、被相続人の所有する建物に住んでいた配偶者は少なくとも6ヶ月、長ければ死亡するまで、その建物に住むことができるようになるということでした。
例えば、男性が亡くなった場合で、妻と前妻との子供が相続人の場合で、相続財産が夫婦で住んでいた自宅のみといった場合でも、奥様は、少なくとも当面の住まいの確保できるようになります。
さらに、長期の居住権を持つことも可能で、この場合、配偶者は終身・無償で使用収益する権利を取得することができます。
(期間を定めたり、終了する条件を定めたりすることも可能。)
この居住権は登記されることになり、第三者対抗要件を満たすことができます。
この長期居住権を取得した場合には、その財産的価値に相当する価額を相続したことになります。
反対に考えると、居住権付の不動産を相続した人は、その分の価値がマイナスになりますので、上手に設計すれば、遺産分割の可能性が拡がりそうです。
「遺言制度に関する見直し」
要するに、
・自筆証書遺言の財産目録は手書きで無くても良くなる
・自筆証書遺言を法務局に保管してもらえるようになる ということでした。
後者については、法務局に自筆証書遺言を持参すれば、
・遺言書が形式を満たしているかどうかチェックしてもらえる
・預かった遺言書を画像情報化して保存してくれ、全ての法務局からアクセスできるようになる
ということで、非常に使い勝手がありそうです。
公正証書遺言の違い(意義)としては
・意思能力の確認
・相続人は、他の相続人に知られず遺言を確認できる
(一方法務局に預託した場合は他の相続人に通知される)
といったところになりそうです。
「遺留分制度に関する見直し」
要するに、遺留分について、不動産の持分を持たせるのでは無く、金銭解決を図ることにすることになるということでした。
名称も「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」となり、要するに遺留分の金を払えという債権請求権になるということですね。
これまでは、遺留分減殺請求の可能性があるため、相続で取得した不動産の売買等の際には、遺産分割協議書の確認をさせて頂いたりといった、結構な負担がありましたが、今後は、金での解決となるので、取引がしやすくなるのでしょうか?
(一方で遺留分侵害額請求権に基づく差押え等も出てきそうですが…)
一方で、遺留分被請求者側は、遺留分相当の金銭の準備が必要となりますので、これを原因とした売買等も生じるかもしれませんね。
施行後のビジネスに結びつけられるよう、いろいろアイデアを練ってみたいと思います(^^)